恐らく政治だけの話ではない。権力を維持することが第一の目的となった世界では、やがて、忖度することが当たり前となり、罪悪感は消え失せ、倫理や道徳が正しく機能しなくなってしまう。これは、そんな世界の中で、個人が尊厳を失わずにどう生きていくのかを問いかける映画であり、いずれを選んでも、地獄とならざるを得ない状況、即ち、現代の日本を告発する物語だ。
恐らく政治だけの話ではない。権力を維持することが第一の目的となった世界では、やがて、忖度することが当たり前となり、罪悪感は消え失せ、倫理や道徳が正しく機能しなくなってしまう。これは、そんな世界の中で、個人が尊厳を失わずにどう生きていくのかを問いかける映画であり、いずれを選んでも、地獄とならざるを得ない状況、即ち、現代の日本を告発する物語だ。
中1の夏。砂浜のキャンプ場で、その辺に落ちている木の枝で焚き火をし、友だち4、5人と朝方までだべりながら、気がついたら寝落ちしていた。で、次の日、ぼーっと寝不足のまま、「どさん子」という店で札幌ラーメンを食べて帰った。一緒に行った友だちとは、その後、疎遠となり、あれはもしや夢だったのかと、今ではもはや記憶もおぼろげだけど、自分にとってはかけがえのない思い出だ。40半ばを過ぎてからの「スタンド・バイ・ミー」はやはりヤバかった。いろんな思い出が走馬灯のごとく甦り、劇中の台詞にあるように、すべてがそこにはあった。
な、なんだ、これ。自分がいなくなった世界で妻を傍観することしかできない、その名の通り、時空を超えて幽霊が彷徨する物語。とかくわかりやすさが求められる現代において、ここまで観念的な映画を撮るというだけで称賛に値する。しかも、ケイシー・アフレックにルーニー・マーラという、今、最も旬な俳優をキャスティングして。常識の枠の中で映画を撮っていたら、見えざるものを掴みとることなど到底できないのだ。