Editor's Record

観たモノ、読んだモノ、聴いたモノ。好きなモノの記録。

「町田くんの世界」石井裕也

結局はどれだけ曝けだせるかということなんだ。石井裕也監督の映画をみていると、これだけ純粋に映画と向き合い、世界と向き合い、表現をするということがとっても尊いことに思えてくる。悪意に満ちている世界の中で、それでも世界を全肯定する強さ。わからないことがあるからこの世界は素晴らしい。名言。

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映画『町田くんの世界』オフィシャルサイト

「記憶にございません!」三谷幸喜

振り返ってみると、三谷幸喜の作品は、映画はすべて、ドラマもそのほとんどを観ている。彼の描く笑いがどこか哀しかったり、彼の描く敵がどこか憎めなかったりするのは、その根底に人間への愛が流れているから。彼にキャスティングされた俳優を、その後、なんだか好きになってしまうのはそのせいだ。この冬、周防正行の5年振りの新作が、そして、山田洋次の寅さんの50作品目が公開される。伊丹十三はもういないけれど、日本映画の素晴らしい系譜。コメディこそが、エンターテインメントとしての、映画の醍醐味だ。

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映画『記憶にございません!』公式サイト

「ドント・ウォーリー」ガス・ヴァン・サント

赦すこと、受け入れることこそが希望なのだと、映画は繰り返し繰り返し描くけれど、簡単に赦し、受け入れるほど人間は強くない。それでも、ふとしたきかっけで、弱さは強さに変わることを、実在した車椅子の風刺漫画家が教えてくれる。ガス・ヴァン・サントは、またしても、繊細で、複雑で、やさしい映画を撮った。

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映画「ドント・ウォーリー」公式サイト 2019年5月3日公開

「愛がなんだ」今泉力哉

公開時には、満席、立ち見、リピーターが続出。ある映画館の代表に「気が狂ったようにヒットしている」とまで言わしめた恋と愛についての物語。「愛じゃなくても、恋じゃなくても、君を離しはしない」とヒロトは歌ったけれど、言葉の概念や意味なんて、どうでもよくなる恋の狂気が、ユーモアをちりばめて、なんとも切なく描かれる。いのち短し、恋せよ乙女。岸井ゆきのはどの出演作も素晴らしく、成田凌はクズな男の役が多いけど、ともにこの映画がいちばん!

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映画『愛がなんだ』公式サイト

「ブラック・クランズマン」スパイク・リー

「ドゥ・ザ・ライト・シング」(即ち、正しいことをしようの意)は言うまでもなく、「ゲット・オン・ザ・バス」も忘れがたい映画だ。黒人差別を描きながらも、シリアスに陥ることなく、あくまでもユーモラス、かつファンキーに、そしてオシャレに、抜群のエンターテイメントに仕上げるスパイク・リーの真骨頂。エンドロールに流れる、黒人霊歌をアレンジした盟友プリンスの未発表曲「Mary Don't You Weep」がまたハマりすぎ。40年近く映画を撮り続けてきた黒人監督の「本気」がエグイ!

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映画『ブラック・クランズマン』オフィシャルサイト