戦争や災害など歴史に刻まれることの多くは悲劇だ。そうした悲劇から、あるいは、悲劇にまつわる死者の記憶から、残された者は、目を背け、耳を塞ぐのではなく、苦しみや悲しみを、もがきながらも受け止めなければ前へ進めない。そんな過去・現在・未来への向きあい方を暗示する観念的なSF映画。どんなに過去を消し去っても、その積み重ねの先に現在があり、未来がつながっていくのだ。
戦争や災害など歴史に刻まれることの多くは悲劇だ。そうした悲劇から、あるいは、悲劇にまつわる死者の記憶から、残された者は、目を背け、耳を塞ぐのではなく、苦しみや悲しみを、もがきながらも受け止めなければ前へ進めない。そんな過去・現在・未来への向きあい方を暗示する観念的なSF映画。どんなに過去を消し去っても、その積み重ねの先に現在があり、未来がつながっていくのだ。
まずは、21世紀の現在もなお、同性愛が「疾患」とみなされ、矯正されているという告発。そして、親として肝に銘じておかねばならないと強く思うのは、我が子といえど、何人なりとも侵すことのできない人格を有する「個」であるということだ。父も、母も、子も、互いの個性を尊重することができて初めて「愛は機能する」ということをこの映画は教えてくれる。
記念すべき国民映画の第1作は、50年を経た今もゲラゲラ笑うことができるコメディの傑作。誰もが寅さんのように、お気軽に、馬鹿正直に、ピュアに、お人好しに生きることができたなら、この国はもっと良くなるはずだ。それにしても、主題歌「男はつらいよ」は名曲中の名曲。イントロが流れるだけで胸が高鳴る。そして、寅さんの口上、啖呵は、日本の宝だ。
ベルリンの壁崩壊後のスーパーマーケットで働く人たちは、ちょっと風変わりで、無骨だけれど、とても心がやさしい。みんないいひと。それは決して、聖人君子的な、あるいは、善意に満ちたいいひとではなく、他人を深く慮りながらも、立ち入りすぎない節度をもって、真面目に、誠実に、つつましやかに生きる普通の人たちだ。いやーまいった。すごいなこれ。一つひとつのシーンを思い出すだけで心が震える。余韻がハンパない。静かな傑作。