被害者の身体のみならず、その家族の精神をも殺してしまうテロリズム。このあまりに卑劣で、非道な行為に対し、法の前に無力な私たちは、加害者や、自らの感情にどう折り合いをつけていくべきなのか。とてつもない苦しみの果てに、主人公カティヤが下した二度の決断。その悲しみのあまりの重さにただただ茫然とし、やがて、彼女の意志によってもたらされる、そのかすかな希望に気づかされる。心を揺さぶる傑作だった。
被害者の身体のみならず、その家族の精神をも殺してしまうテロリズム。このあまりに卑劣で、非道な行為に対し、法の前に無力な私たちは、加害者や、自らの感情にどう折り合いをつけていくべきなのか。とてつもない苦しみの果てに、主人公カティヤが下した二度の決断。その悲しみのあまりの重さにただただ茫然とし、やがて、彼女の意志によってもたらされる、そのかすかな希望に気づかされる。心を揺さぶる傑作だった。
かなり期待して映画館に足を運んだけれど想像以上だった。フレディ・マーキュリーが、クイーンが、いかに伝説となったのかを丹念に描いた134分に引き寄せられ、一瞬たりとも目が離せなかった。ブライアン・メイとロジャー・テイラーは本当にいい仕事をした。とりわけ、ほぼノーカット、ライヴ・エンドのラストシーンは圧巻。胸が高鳴り、手に汗を握り、涙を堪えながらスクリーンを見つめていた。音楽はすごい。そして、人を熱狂させる、というのはこういうことなんだ。
当代一の女優となったサリー・ホーキンスが、またもや、素晴らしいキャリアを積み重ねた。こちらも脂の乗ってきたイーサン・ホークとともに。カナダの小さな港町の、これまた小さな家で、ときを経ながら育まれた、一風変わった夫婦のラブストーリー。他の誰でもない、自分が求め、相手に求められる相手と出会うこと。そのことに気づき、受け入れ、思いやり、ともに生き抜くこと。その二人の佇まい、暮らしぶりの、あまりの美しさにただただ圧倒される。