80歳を過ぎたイタリアの巨匠エルマンノ・オルミ監督が亡き父の涙に捧げた映画。戦場に赴いた戦士ひとり一人に、家族があり、暮らしがあり、夢があった。常軌を逸した戦場の中で正気を保つことがいかに困難なことであるか。余計なものを極限まで排した、美しくも苛酷な映像によって描かれるのは、それでも人間は自らの尊厳を守れるはずだという希望だ。それにしても素晴らしい邦題!
80歳を過ぎたイタリアの巨匠エルマンノ・オルミ監督が亡き父の涙に捧げた映画。戦場に赴いた戦士ひとり一人に、家族があり、暮らしがあり、夢があった。常軌を逸した戦場の中で正気を保つことがいかに困難なことであるか。余計なものを極限まで排した、美しくも苛酷な映像によって描かれるのは、それでも人間は自らの尊厳を守れるはずだという希望だ。それにしても素晴らしい邦題!
漁師役の渋川清彦が「グルーヴよ、グルーヴ」と発する印象的な台詞がある。その、なんとも定義しがたい、音楽による高揚感のようなもの。それが作られていく過程を丹念に描いたのがこの『島々清しゃ』だ。上手くてもグルーヴのない音楽、下手でもグルーヴのある音楽はある。そして、やっぱり民謡ってスゴイ。胸の奥深くに沁み込んで魂が悦んでいる感覚になる。
すべてを失った焼け野原から立ち上がる。戦後、笑いとエロに希望を見出した、浅草に生きる芸人たちの悲喜こもごもを直木賞作家が生き生きと描く。そうだ。復興を成し遂げたのは、国家でも、ましてやアメリカでもなく、日本人ひとり一人の清らかで逞しい心根なのだ。戦後を生き抜くという苦しみや悲しみをほんのわずかでも思い巡らせる手助けとなる一冊。
『笑い三年、泣き三月。』木内 昇 | 単行本 - 文藝春秋BOOKS