ロバート・デ・ニーロ、73歳。まるで、山上たつひこ先生のお下劣な世界を映画化したような、ドン引きする人も多いであろう度が過ぎる下ネタを、まるで水を得た魚のように連発する究極のプロフェッショナリズムを見よ! 朝から酒をかっくらい、暇があればナンパ、ビーチでハメを外しまくる、どうしようもないジイさんが説く人生にグッとくる。俳優はコメディができて一流。「タクシードライバー」と一緒に、ぜひデ・ニーロの代表作に並べていただきたい。
死によって、その存在が無になるというよりも、その存在が逆に、強く、濃くなる感覚がある。その人が身近であればあるほど、ましてや、血のつながりがあればなおさらのことだ。それは決して時間ではなく、その死と人生を受け入れ、自分の中できちんと消化すること。それがきっと「弔う」ということなのだ。
人生で初めてジャケ買いをしたCDはThe Clashの「London Calling」だった。で、この映画、青臭い、青臭すぎると思いながら、結局、最後まで観ちゃう中2レベルの自分に気恥ずかしさを感じつつ、折々に挿入されるパンクな名言にグッとくる。よくよく考えてみると、ギャルとか、ガングロとか、パラパラとか、いわばすべてカウンターカルチャーなのだ。「外野なんて、空気」っていいな。ちなみにロケ地は内灘町。石川県のみなさん、浅電とか、サンセットブリッジとか、8番らーめんとか、でてきます。
こと映画に関しては、猟奇的な殺人者は美少女、また、化け物と人間の恋ほど切ないものはない、と相場が決まっている。そんな定石に、ヨーロッパで伝承されてきた狼男や吸血鬼など獣人の要素がつけ加えられた北欧発のダーク・ファンタジー。あのラース・フォン・トリアー監督の美術アシスタントを務めたという新鋭監督の圧倒的な映像美。美しいミステリーというだけで琴線を刺激し映画的な高揚が呼び起こされる。
ふつうだと思っていたことがふつうではなくて、そのふつうではないふつうをふつうに受け入れるまでの過程。青春。生きることの違和感に、少しずつ、折りあいをつけていく少年二人と少女がとても清々しい。誰かが誰かを思いやる気持ちが滲みでる、やさしさの塊のような小説だった。にしても、いいタイトル。