まったく別々に起こった出来事も、どこか、大きな意味でつながっている。例えば、ユングが「共時性」といったような、不思議な「巡り合わせ」だらけの世界では、どこかで起こった事件が、まったく異なる場所の、誰かの人生を狂わせることだってあるのだ。この世界に充満している「怒り」は決して他人事ではない。これは、人を信じることが難しくなってしまった時代の、悲しい、悲しい物語だ。
なんの意味もない、どうしようもなくくだらない、だらだらとした時間。そんな「無為な時間」の美しさも、かけがえのなさも、今なら痛いほどわかる。決して長くは続かない、人生最高の3日間を切りとった、甘酸っぱくもリアルな青春映画。ビバ☆アメリカ。
野球にまつわる小説を無性に読みたくなるときがある。ある意味、人生で最も幸福だったあの頃を懐かしみ、と同時に、一抹の寂しさを感じる年にもなった。1975年のヒロシマ。ときの流れは、何をもたらし、何を奪ったのか。忘れていいこと、忘れてはならないことってなんだ? 40歳オーバーにはきっとグッとくる、重松節炸裂のノスタルジックな一冊だった。
冒頭に記される「正しくみれば数学は真理だけでなく究極の美も併せ持つ」というある数学者の言葉。宇宙にまつわる真理を探究するのが物理学であるように、数学を突き詰めれば突き詰めるほど、その「美しさ」に魅せられていくという感覚はなんとなくわかる。数学はロマン。そして、どんな分野でも、ロマンチストだけが未来を切り拓く。