ずっと映画のことを考えている

旧「Editor's Record」(2023.2.28変更)

「グッバイ、サマー」ミシェル・ゴンドリー

子供といえるほど純粋無垢ではなく、大人といえるほどズル賢くもない。人生でもっとも特別な“14歳”の夏に、起こるべくして起こる、恋と、友情と、冒険の物語。天才ミシェル・ゴンドリーの自伝的な作品というだけでボルテージは最高潮。友達が一人いれば、その夏は永遠となる。何度も、何度も、拳を突き上げたくなるような、そんな青春映画だった。

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ミシェル・ゴンドリー最新作『グッバイ、サマー』公式サイト|9月10日(土)公開

 

 

 

 

「走れ、絶望に追いつかれない速さで」中川龍太郎

忘れられないシーンがいくつもある。どんなに青臭いといわれようがこんな映画が好きだ。人生の断片、最も輝かしい刹那を、映像によって永遠に刻みつけるもの、それこそが映画であると強く信じている。富山の海が、こんなにも悲しく、美しく、優しかったなんて。太賀、すごすぎる。「愛の小さな歴史」よりさらに飛躍した中川龍太郎監督は、この先、一体どこまでいくんだろう。心の震えがおさまらない。

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走れ、絶望に追いつかれない速さで - Tokyo New Cinema Inc. | ヒトを豊かにする映画

 

「神様の思し召し」エドアルド・ファルコーネ

目に見えるものしか信じない外科医と目に見えないものをこそ信じる神父。価値観のまったく異なる二人の関係に起こる変化を描いたその根底には、人間はきっと分かり合えるはずだ、という願いにも似た思いが込められている。笑うだけ笑ったあとに残る深く温かな余韻。イタリアはときに信じられないほど上質なコメディ映画を生みだす。うん。これはとてもいい映画だ。

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映画『神様の思し召し』公式サイト

 

「はじまりはヒップホップ」ブリン・エヴァンス

このドキュメンタリー映画が感動的なのは、年寄りがヒップホップを踊るからではなく、幾多の哀しみや苦しみを経験し、まさしく最晩年に差しかかってなお、ひとは何か新しいことにチャレンジし、社会と新たなかかわりを持てるということを証明してみせたからだ。キープ・オン・ダンシング。ヒップホップという若者が生んだ未知の文化に触れ、心を動かし、敬意を示したメンバーたちは、誰もがチャーミングで、命をケチることなく躍動させている。

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映画『はじまりはヒップホップ』オフィシャルサイト

 

「SCOOP!」大根仁

ぶっちゃけ、なんだかなーと思いながら見ていたけれど、後半、残り30分くらいからグイグイと引き込まれる。もはや日本で最も優れた俳優の一人と言っていいリリー・フランキーの狂気は言わずもがな、今さらながらの、滝藤賢一の怪演っぷりに不意を突かれて涙。なんといえばいいのか、この軽くって熱いエンターテインメントを撮らせたら、結局、大根監督の右にでる者はいない。

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映画『SCOOP!』公式サイト